五の橋キッズクリニック 江東区亀戸6-2-3田辺ビル3F
  よくご質問をいただく項目

よくご質問をいただく項目をまとめてみました。
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Qよく下痢をします。成長に影響はある?(1才10カ月)

  娘がよく下痢をするので心配しています。下痢便には、消化されなかった食べ物が一緒に出てきます。これは食べ物を消化する機能が弱いからでしょうか? 今は身長や体重の伸びも順調だと言われていますが、このままずっと下痢をよくするようだと、体の成長にも影響が出てくるのではないかと気がかりです。(静岡県 女の子)  
  A
便の回数やかたさは子どもによって違います。
身長や体重が増えていれば問題ありません
便の回数や状態には個人差があります。普段から回数が多く便がやわらかい子どももいますし、回数が少なく便がかたい子どももいます。
下痢と診断されるのは、1日にいつもと比べて3回以上多く排便があり、その便がいつもよりもやわらかいとき。たとえば、通常、1日1回うんちをする子どもの場合は、1日に4回以上の排便があったときに下痢と判断されるのです。普段よりちょっと便がやわらかい程度で回数も少なければ、あまり心配しなくていいと思います。
また、食べ物が未消化のまま出てくるようですが、腸が未発達な乳幼児にはよく見られること。身長や体重の伸びが順調ということなので、腸が弱いなどの病気は考えなくていいと思いますし、今後の成長に影響が出ることもないでしょう。便に食べ物が混じることが気になるのなら、消化のいい食べ物を選んだり、よく煮る、こまかく切るなど、消化されやすいよう調理に工夫をしてみるといいでしょう。
 

なるほどコラム
こんな下痢便のときは要注意!

  「血が混じっていた」「粘液がたくさん出た」「水のように緩い」という場合は、病気の可能性があり、注意が必要です。
血が混じる下痢便は、細菌による腸炎が原因。細菌が付着した食べ物や物、手などを口に入れると起こります。細菌性の腸炎は、抗生剤を飲まないと治りません。血便が出たときはすぐに受診を。ただし、少量の血液が糸状につく程度なら、細菌ではなくウイルス性の腸炎の可能性もあります。その場合は抗生剤は使わず、整腸剤などを飲んで様子を見ていれば治ります。細菌性かウイルス性かの判断が難しい場合は、念のため受診したほうがいいでしょう。
下痢便とともに粘液が出るときは、ウイルス性の腸炎が考えられます。粘液が出ても、便の回数が少なく元気があるなら、様子を見ていて大丈夫。ただし、いつもより便の回数が多いとき(1日にいつもより3回以上多くの排便があるとき)、血が混じっているときは、受診して薬を処方してもらってください。
水のように緩い便も、ウイルス性の腸炎が原因です。1日に5回以上も見られる場合は、ミネラル不足や脱水症状が心配。子ども用のイオン飲料を、少量ずつ何度も飲ませ、水分補給をしてください。大人用のイオン飲料は糖分が高すぎて、逆に下痢を悪化させるので避けましょう。脱水にならなくても糖分が足りずに、低血糖でぐったりしている場合もあります。市販のブドウ糖をとらせてみましょう。また、嘔吐【おうと】、発熱を伴うとき、ぐったりして全身の状態が悪いときは、小児科を受診してください。
 

Q貧血の子どもは発育に影響が出る?(1才2カ月)

  11カ月のときに、たまたま検査で貧血と診断されました。以来、鉄剤を飲ませて治療をしているのですが、以前も今も、見た目には貧血とは思えないくらい元気です。子どもが貧血になると、発育などに影響が出ることはあるのでしょうか? また、日常生活の注意点についても教えてください。
(千葉県 男の子)
 
  A
貧血が長引くと発育にも影響が出ます。
鉄分をたくさんとって早めに治療しましょう
6カ月以上の乳幼児は、ほとんどが鉄欠乏性貧血ぎみです。赤ちゃんはママから鉄分をもらって生まれてくるのですが、母乳やミルクには鉄分があまり含まれていないため、生後6カ月くらいで体に蓄積していた鉄分を使い果たしてしまうからです。
大人の血液中のヘモグロビン(赤血球中の赤い色素。ヘモグロビンに含まれる鉄が酸素と結びついて、体の隅々まで酸素を運びます)の濃度は通常、血液1dl中14〜15gですが、乳幼児は10g前後。大人なら貧血と診断される値ですが、乳幼児はみんな低めなので、ヘモグロビン濃度が8g以下の場合と、10gあっても身長や体重の伸びが少ない場合に鉄欠乏性貧血と診断され、鉄剤が処方されます。
治療期間は1-2カ月が一応の目安。再度血液検査をして、ヘモグロビン濃度や体内の鉄分貯蔵量が十分あると確認されれば治療は終了になります。もちろん、不足している場合は治療が続けられます。貧血は症状が表に出にくい病気。顔色が悪いなど、見た目にも貧血だとわかるのは、かなり症状が進んだ状態です。元気だからと安心せずに、医師の指示に従ってください。
乳幼児の発達には、鉄分がたくさん必要なので、鉄欠乏性貧血が長引くと、体や精神面の発達に影響が出ることもあります。鉄欠乏性貧血は、鉄分をたくさんとれば治るので、なるべく早めに治療をすること。また、治ったあとも、日ごろから緑黄色野菜、レバー、赤身の肉、青魚など、鉄分をたくさん含む食品をとるよう心がけてください。2才くらいまでは、ムラ食いや偏食ぎみの子どもも多いと思いますが、なるべくたくさんの種類の食品が取れるよう、調理法、盛りつけなどに工夫をしましょう。
 

Qクループ症候群はくせになりやすい?(2才4カ月)

  娘は風邪をひくとすぐにクループ症候群になってしまいます。1才8カ月のときには入院もしました。クループ症候群はくせになりやすいと聞きましたが、やはり一度かかると繰り返すことが多いのでしょうか? また、今後かかる回数を減らすために、日ごろからできることがあれば教えてください。(鹿児島県 女の子)  
  A
くせになることはありませんし、
年齢が上がるにつれ、かかりにくくなります
風邪のウイルスや細菌が喉頭【こうとう】(のど)に感染してかかるのがクループ症候群。くしゃみ、鼻水、せき、発熱といった風邪の症状とともにまたは突然起こり、声がかすれ、のどから「ゼーゼー」という音がして苦しそうに呼吸をします。「ケーン」と犬が遠吠えしたり、オットセイが鳴くようなせきをするのが特徴。1〜2才くらいまでの子どもがかかりやすく、年齢が上がるにつれて、かかる回数も減っていきます。
クループ症候群の原因はウイルスや細菌の感染ですから、人込みへ行くなど、ウイルスや細菌に触れる機会が多いと、どうしてもかかりやすくなります。また、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルスは、クループ症候群を引き起こしやすいウイルス。これらのウイルスの流行時期は、クループ症候群になる子どもも多いし、繰り返す子どもも見られます。けれど、一度クループ症候群にかかったからといって、体質的に繰り返しやすくなることはありません。お子さんの場合も、たまたまクループ症候群にかかりやすい環境が続いたため、繰り返してしまったのだと思います。
予防するには、まずは風邪をひかないようにすること。外出後の口すすぎや手洗い、室内の加湿、換気、保温を心がけましょう。
 

なるほどコラム
クループ症候群にかかったら

  クループ症候群の症状が見られたら、熱があってもなくても、早めに小児科へ行って、軽いうちに初期治療(吸入や注射)を受けることが大切。初期に治療するとあまり重症にはなりくく、ひどくなると入院が必要になりますし、場合によっては呼吸困難に陥って意識がなくなったり、窒息を招いたりと、致命的な事態を引き起こすこともあるからです。
みぞおちや首のつけねの陥没呼吸は要注意。意識がもうろうとしている場合は緊急事態です。受診後は、加湿器などで室内の乾燥を防ぎ安静にしていること。泣いたりして興奮すると、ゼーゼーがひどくなるので気をつけましょう。泣くようでしたら無理に薬は飲ませず、まず落ちつかせ、薬は様子を見ながらにしてください。通常犬吠様の咳は2-3日で、普通の湿った咳にかわりますので、こうなれば安心できます。
 

Qおふろで泣くと唇が青白くなります(2才0カ月)

  1才8カ月ごろ、おふろで湯船につかっているときに、お湯が顔にかかって泣きだしました。湯船から出しても泣きやまず、しだいに目を閉じ始め、足がフラフラして意識がなくなりかけました。唇も青白くなってきたので、すぐにおふろから出して、麦茶を飲ませたところ、いつもの状態に戻りました。でも、それ以来、おふろで泣いたときに唇の色が青白くなるので心配しています。昼寝が短かった日、よく遊んだ日になり、おふろを出て1分ほど横になると、すぐに回復します。何かの病気ではないでしょうか? 
(高知県 男の子)
 
  A
けいれんなどの可能性も考えられますが、
お子さんの場合は脳貧血でしょう
泣き入りひきつけ(憤怒【ふんぬ】けいれん)、熱性けいれん、脳貧血の3つの可能性が考えられます。
泣き入りひきつけは、大泣きしたときになるけいれん。息が止まり、顔や唇が紫色になって、手足をビクンビクンとさせます。乳幼児は呼吸機能が未熟で、興奮するとうまく呼吸を整えられないために起こるもの。就学前までには見られなくなります。
熱性けいれんは、発熱に伴うけいれん。急に体温が上がったときに起こりやすいので、熱いおふろに入っていて起こることもあります。手足をビクンビクンとさせるほか、突然脱力して意識がなくなったり、目がつり上がったり、唇が紫色になったりするのが特徴。手足をビクンビクンとさせずに脱力するだけの場合もあります。1〜3才代に最も多く見られ、小学校に入るころまでにはほとんどなくなっていきます。
脳貧血は、一時的に血圧が下がり、脳に流れる血液が減って起こるもの。めまいや吐きけを起こしたり、顔や唇が青白くなったり、急に意識を失って倒れたりします。疲れているとき、空腹のとき、ショックを受けたときなどに起こることが多く、とくに病気ではありません。
お子さんの場合は、昼寝が短かった、よく遊んだなど、少し無理をした日になることが多く、また、すぐに意識が戻り、手足をビクンビクンとさせることもないので、おそらく脳貧血だと思います。疲れぎみかなと思う日は、湯につかる時間を短くしたり、冷たい水分をおふろに持ち込み、のぼせぎみのときに飲ませるといいでしょう。
 

なるほどコラム
風邪のときのおふろも短めに!

  「風邪をひいたときには、おふろに入れてはいけない」といわれますが、これは熱があるときに熱いお湯に長くつかると、体が疲れてしまうため。入浴したからといって、風邪がひどくなるわけではありません。むしろ、入浴して清潔にするのはとてもいいこと。鼻風邪の場合は湯気で鼻が潤い、鼻水も出やすくなります。風邪のときは熱めのお湯に短時間つかって、鼻水を取ることをおすすめします。  

Q頻繁にしゃっくりを。どこか悪いの?(1才6カ月)

  生まれたときからよくしゃっくりをします。小児科の先生には「赤ちゃんはよくしゃっくりをするから大丈夫」と言われたのですが、1才6カ月になった今でもよくしゃっくりをするし、友人に「うちの子はそんなにしょっちゅうしゃっくりは出ないよ」と言われ、どこか悪いのではないかと心配になってきました。
しゃっくりをするのは、たいてい、おしっこやうんちをしているのにおむつを替えないでいるとき。替えてあげるとしゃっくりはすぐに止まります。
(福岡県 女の子 )
 
  A
しゃっくりは病気ではありません
横隔膜のけいれんに続いて、声門をすばやくしめることででる音をしゃっくりといいます。けいれんというと心配される方も多いと思いますが、驚いた、何かを飲み込んだなど、一時的な身体的・精神的ストレスが原因で起こる生理的なものがほとんどで、病気ではありません。まれに脳腫瘍や肺炎・胃炎でおき、腹部の手術後におきることもあります。
また、乳幼児はよくしゃっくりをしますが、その原因はよくわかっていません。
苦しそうに見えますが、様子を見ていれば数分で自然に治るので、無理に止めなくても大丈夫。昔から「脅かしたら治る」「息を止めれば治る」「甘いものを食べれば治る」などといわれていますが、効果はどうでしょうか?胸を抱きかかえる・冷水を飲ませる・砂糖をスプーンで食べさせる・紙袋を口につけて呼吸させるなどが効果的といわれていますが、何もしなくても数分でとまることがほとんどです。
 

余談
最近、かんのむしが強い、急に興奮したりする、夜泣きがひどい、言葉の発達が遅いなどの相談をよくうけます。
これらは一見関係なさそうなことですが、実はひとつの原因があるかもしれません。

  お子さんは、夜遅くまで起きていて、朝起きるのが遅くないですか?ひとりでビデオをずっと観ていませんか?脳内には、メラトニンやセロトニンという脳内物質とよばれるホルモンが存在し、睡眠リズムの調節をしていますが、朝の光をあびないとこれらのバランスが崩れ、「昼間ボーとしている」、「急にキレル」子が増えています。
またビデオはこどもにとって一方通行の情報で、けして言葉を覚える練習にはなりません。お母さんが絵本を読んであげるときに、向かいあわせではなく、抱っこして、話しかけてあげながらするのが最も効果的です。家事などでつい、こどもにお菓子を与えて、ひとりでビデオをみせてしまいがちですが、なるべく朝早く起こし、夜は早く寝かせ、会話を大切にしましょう。
 

Q全体に発達が遅め。まだ歩きません(1才5カ月)

  寝返りが9カ月、おすわりが10カ月、はいはいが1才2カ月、つかまり立ちが1才3カ月、伝い歩きが1才4カ月と、ほかの子よりも発達が遅めです。心配しながらも、順調に育ってきているので見守ってきましたが、もうすぐ1才6カ月になるのに、あんよをしないので心配になってきました。
手を離して立っていられるのも数秒だし、私が手をひいて歩かせても、少し歩くとすぐに座ってしまう状態です。はいはいとつかまり立ちで元気に室内を動いているのですが、様子を見ていれば、そのうち歩けるようになるのでしょうか? (石川県 男の子)
 
  A
まだ様子を見てもいい時期ですが、
歩く練習をさせるなどの働きかけも大切です
乳幼児健診の基準では、「1才前後であんよができるようになる」とされていますが、子どもによって個人差がありますから、1才6カ月くらいまでは様子を見るように指導しています。また、発達の遅れについては、運動能力だけでなく、知能面、感覚面など、いろいろなことを総合的に診て判断しなくてはなりません。たとえば、言葉の発達がゆっくりでも、運動能力がしっかり発達しているのなら、遅れとは診断せず、成長のバランスがとれてくるのを待っていて問題ありません。
お子さんの場合も、運動能力の発達はゆっくりめだなぁと思いますが、知能面や感覚面の発達について詳しく聞いてみないと判断はつきません。それに、1人で立つことができて、ママが手をひけばあんよをすることができるのですから、とくに心配なさることはなく、しばらく様子を見ていいケースだと思います。
とはいえ、ただ待つだけではなく、ママが遊びながら歩く練習をさせていくことも大切なこと。子どもは、ただ自然に待っていれば、歩きだす、話しだすというわけではありません。手をひいて歩かせるのを根気よく続けるとともに、知能面、感覚面が育つように、積極的に言葉かけをしたり、いろいろな経験をさせてあげるようにするといいでしょう。
 

Qあざ(母斑)症が気になるのですが・・・

  A
―小児におけるレーザー治療の治療時期に関してー
以前はレーザー治療は、様子をみて3歳以降にというのが一般的でしたが、最近は(1)入院せず外来で手軽に治療ができる、(2)黒あざ以外はすべて保険適応である、(3)一歳以下のほうが皮膚が薄く効果が高い、(4)レーザーの種類が豊富になり、選択肢が増えたなどの理由で、早期開始が推奨されています。
通常の治療で、生後3ヵ月くらいから可能で、とくに苺状血管腫は、拡大傾向があるので発見次第、治療を開始するのが良いといわれています。
治療は、いずれも5回程度、または、それ以上の回数が必要となります。2〜3歳くらいになると、子供の力も強くなりますし、恐怖心も出てきますので、治療が少し難しくなります。それ以前に、一通りの治療を完了していくことが望まれます。

(1)赤あざ
【単純性血管腫】
出生時より存在する隆起のない平坦な赤あざで、顔面に広範囲にある場合、スタージ・ウエーバー症候群を疑い、頭蓋内病変、緑内障を精査します。四肢に広範囲にある場合、四肢の肥大や長さの延長を伴うクリッペル・ウェーバー症候群を疑います。
【苺(いちご)状血管腫】
生後2週間頃より出現する苺のように隆起のある赤あざで、拡大傾向があり、生後6ヵ月から1年頃まで拡大、その後縮小し、5〜6歳頃までに、多くの場合、自然治癒します。皮膚の質感の違いや隆起が残る場合があり、積極的な治療をすることが多くなってきています。
【正中母斑】
出生時より認める前額部、外鼻、上口唇、項部の正中部分に認める平坦な赤色斑です。サーモンパッチ、ウンナ母斑などとも呼ばれます。
血管の増生でなく、血管の生理的な拡大によるものとされ、自然治癒傾向があり、多くの場合、1〜2歳くらいで消失します。

(2)茶あざ
【扁平母斑】
薄い茶色の平坦なあざです。出生時から存在する場合と思春期になってから出現する場合があります。元々色の薄いあざで、治療直後の結果は非常に良いのですが、強い再発傾向を認め、完治する割合は、10%以下しかない治療の難しいあざです。色素沈着や色素脱失を残すことがあり、色の薄い場合は、積極的治療は薦められていません。

(3)青あざ
【太田母斑】
通常顔面の片側に、まれに両側に認め、出生時から認める場合と思春期から出現する場合があります。現在は最も治療効果の得られるあざで、ほとんどの場合、充分に満足のできる程度まで色を取ることができます。
【異所性蒙古斑】
臀部以外に蒙古斑を認めるものを異所性蒙古斑と呼び、12歳くらいまでで、ほとんどの場合、自然治癒します。原則として、経過観察しますが、色が非常に濃い場合や目立つ部分にある場合には、いじめの対象となることがあるため、治療します。

(4)黒あざ
【色素性母斑(母斑細胞母斑)】
平坦な場合と隆起のある場合があり、毛髪を伴う場合もあります。
悪性黒色腫などへ悪性化する可能性がありますので、その可能性をなくすと言う意味では手術による切除が確実ですが、傷跡を残すため、患者の希望により、レーザー治療を選択することも可能です。
レーザーによる治療は、黒あざの細胞(母斑細胞)が一部除去できずに残るという意味で悪性化の可能性を残しますが、レーザー照射自体が、悪性化を惹起するいうことではありません。
 

Q包茎は気にしたほうがよいのでしょうか?

  A
通常、思春期以前は誰でも包茎です。多くは仮性包茎であり、放置していても自然に改善する場合も多く、乳児期から幼児期にかけて無理に包皮を翻転する必要はないといわれてきました。
ただし、亀頭包皮炎を繰り返す患児、排尿時に包皮内に風船状に尿が溜まって膨らむような患児では、包皮の翻転指導を行います。1日1〜2回包皮の先端にステロイド軟膏(リンデロンVG)を塗布し、患児が痛がらない程度に、包皮を翻転するように包皮を伸展させることを10回程度繰り返します。通常2週間程度で効果がみられ、4週間経つと90%程度の症例で翻転が可能になるといわれています。
保存的治療が無効な場合には全身麻酔下に環状切除術を行います。チンチンを切られたという心理的影響を考えると、3歳頃までが望ましいでしょう。同年齢の幼児と比較して、亀頭の形態が大きく異なると、イジメの対象になりうることもあり、亀頭を完全に露出するのではなく、亀頭の先端のみが露出するに留める(真性包茎だけを解除する)こともあります。思春期になって手術が必要な事に気がつくのではかわいそうなので、ただ放置するのではなく、一度は3歳頃までに翻転が可能か否か試しておくべきです。
実際、乳児のほうが比較的容易に包皮の翻転が可能で、その後、入浴時に洗うように習慣付けておくと3歳頃には自分で翻転して洗うようになります。汚い場所というイメージではなく、清潔に保つべき場所という考えを植え付けるとよいでしょう。
治療開始時期に一定のコンセンサスはなく、1歳半や3歳健診の機会に指導し、お母さんとの相談の上決定するとよいでしょう。
 

Q子供の痔について教えてください。(スキンタッグと痔核)

  A
スキンタッグとは裂肛の治癒過程において生じるもので、肛門の6時方向と12時方向にできることが多いものです。裂肛は排便時の痛み、排便時に便に付着するような出血、排便後にトイレに垂れるような出血が特徴であり、基本的に便秘を伴っています。治療としては前記の排便コントロールが重要です。局所処置としてはイソジンゲル、もしくはネリプロクト軟膏などの痔疾用の軟膏を塗布します。一度スキンタッグが形成されると、完全に消失するのは難しい。時に切除を希望されるご両親がおられるが、切除は不要で、切除してもまた再発することがあります。
排便時に紫色のおできを肛門部に認めることがあり、通常は外痔核です。痔核も排便コントロールが重要であり、局所にはネリプロクト軟膏などの痔疾用の軟膏を塗布しておきます。通常の排便コントロールが上手く行かない場合、補中益気湯を投与すると痔核の縮小、症状の軽快を認めることもあります。
 

Q便秘がちなのですが・・・

  A
3〜4日以上排便が無い状態を便秘と呼びますが、頻度だけでなく、いきみが異常に強い場合も便秘といえます。まず家族から便秘の発症時期、進行の様子、排便時の状況、これまでの治療などを聴取し、腹部触診、肛門指診を行い、習慣性の便秘であるか、ヒルシュスプルング病などの症候性の可能性が高いかを判断します。習慣性便秘の場合には、毎日いきみ無く排便できるようになること、直腸をなるべく空にしておくこと、排便習慣をつけることを目標に、日々のバランス良い食生活、十分な水分摂取を指導するとともに、うんち日記などの記録をつけてもらい、患児の日々の排便状況を観察することも重要でしょう。ひどい宿便の場合には、3日間程度の連日浣腸・腸洗浄後に緩下剤を開始し、その後も必要に応じて浣腸を併用します。整腸剤内服で腸内細菌叢のバランス改善を図るプロバイオテイクス療法や服用が容易な酸化マグネシウムやラキソベロンなどで治療を開始することが多いですが、これらの緩下剤は離脱がやや難しい欠点があり、随時テレミンソフトなどの座薬や小建中湯や大建中湯などの漢方薬も考慮します。調子の良い時期を3ヶ月程度継続出来たら、薬の減量をします。症候性の便秘が強く疑われる場合や、緩下剤に対する反応が悪い場合には、注腸造影、内圧検査、直腸粘膜生検を行い、ヒルシュスプルング病などの鑑別を行います。ヒルシュスプルング病が確定されれば、腹腔鏡補助下に経肛門プルスルーによる根治術を行います。
 

Q臍ヘルニアについて教えてください。

  A
生後2〜3ヶ月に最大となり、以後徐々に縮小、通常1年以内に90%、2年以内に95%の患児でヘルニア門が自然閉鎖します。しかも嵌頓などの問題を生じることは極めて稀であり、少なくとも2歳以前に手術を必要とすることは少ないといわれています。最終的に臍ヘルニアが残存しても、いわゆるデベソとなるだけで、ほとんどが美容上の問題から手術適応を考慮します。手術時期は幼稚園でのいじめの対象となることを考慮し、3歳頃の手術が望ましいとされており、最近は日帰り手術を行う施設がふえてきました。以前の手術ではヘルニア門である腹直筋を直接縫合していましたが、最近ではヘルニア嚢を切除し、ヘルニア門を少し残す手術を行っており、その方が美容的に優れています。自然治癒を待つ間は無処置経過観察でよいとされてきましたが、臍の皮膚が伸展して臍輪が開大し、形の良い臍にならないことがあります。これを防ぐために、皮膚を刺激しないようなスポンジを臍に押しつけ、これをテガダームなどの被覆シートを用いて圧迫する方法も見直されてきました。シートは3〜4日毎に交換し、自然治癒となるまで継続しますが、無処置経過観察よりも早く自然治癒が起こり,形態も良好です。自然治癒が起こらない場合には手術を選択します。
 

Q停留睾丸・移動性睾丸について教えてください。

  A
陰嚢の中に精巣(睾丸)を触れないときは,停留精巣(停留睾丸)の可能性があります。普段、陰嚢内に睾丸を触れなくても、お風呂に入っている時,リラックスして座っている時などに精巣が陰嚢内に触れれば、移動性精巣といい、必ずしも手術適応ではありません。立った状態、あるいはリラックスしているときでも陰嚢が空であれば停留精巣であり、手術が必要です。寝た状態では挙睾筋反射により、睾丸が触れにくくなるので、立たせた状態での診察が必要です。移動性精巣と停留精巣の区別は難しいことも多いので、小児外科医に相談して正しい治療方針をたてる必要があります。 高い温度環境にある停留精巣では精子を作る細胞が少しづつ機能を失い数も減少してゆきます。この変化は温度が高ければ常に進行してゆくので、手術で精巣を陰嚢内に固定する必要があります。放置しておくと、成人になってから40倍の確率で癌化することが知られているからです。
精巣の機能低下を防ぐためには、遅くとも2歳迄に手術をするのが良いとされています。生後まもなくは精巣が自然に下降することもあるので、しばらくは経過を観察します。しかし1歳の誕生日を過ぎても陰嚢内におりてこないようであれば、小児外科医に相談する必要があるでしょう。
 

Q舌小帯短縮症について教えて下さい。

  A
舌の裏側中央にある舌小帯が舌の先端近くまで接着していて、舌を突き出したり、先端がつれてハート型になったりするものです。以前は母乳がうまく飲めないという理由で切離することがありましたが、最近は摂食嚥下の問題はほとんどなく、手術適応となることはほとんどありません。しかし構音障害や睡眠時無呼吸をおこす原因になっている場合は手術適応です。特にラ行、サ行、タ行音が、歯間音や歪み音になる場合には、これらの発音の習得時期の5−7歳をまって手術を行います。歯科レーザー手術の保険適応があります。睡眠時無呼吸をおこす原因になっている重症例では、乳幼児突然死症候群の可能性があり、早期手術が推奨されています。
 

Qよく熱をだすのですが、大丈夫でしょうか?

  A
保育園・幼稚園などの集団生活を始めたばかりの児では、ひと月に何度も熱をだすことはけして珍しくはありません。仕事や家事で忙しいお母さんは、熱を出すこと自体が我慢できずに、「背景に病気があるのでは?」「何か違う病気なのでは?」と心配することがよくあります。保育園にいっているからしようがないと一言で片付ける前に、どんな種類の発熱(感染症)だったかをよく問診してみるとよいでしょう。
毎回、肺炎球菌などの細菌性疾患を反復している場合には、免疫不全が背景にある場合があり、免疫グロブリン測定だけでなく、IgGサブクラス、好中球機能検査を行う必要があります。
上部尿路感染であれば膀胱尿管逆流などの基礎疾患を、中耳炎の反復であれば、扁桃腺やアデノイド肥大による鼻閉などが背景にあり、それぞれの専門医を紹介すべきでしょう。
しかし、よく話を聞いてみると漠然とした不安であることが多く、1回1回が軽微な上気道炎や腸炎の反復であれば、基礎疾患の存在を心配しする必要はなく、一般的手洗い・うがいなどの予防が大切です。集団保育開始後1年すると、多くの子供達が「丈夫になる」ことが多く、その旨を説明すればお母さんにも安心してもらえます。
 

Q中耳炎がなかなか治りません

  A
鼻のおくにあるリンパ節(アデノイド)は2-3歳で肥大しはじめ、5−6歳で最大となります。この間鼻汁を自分でかめない児では、鼻閉による息苦しさ、睡眠中口をあけるため、咽頭の乾燥や感染リスクが高まります。
このため滲出性中耳炎がなかなか治らない、頻繁に化膿性中耳炎に移行するといった経過になりやすいのが特徴です。
マクロライド系抗生剤と去痰剤の長期投与がよく耳鼻科では行われますが、ときに換気チューブ挿入が必要な場合もあります。反復する場合には、こどもの中耳炎の経験豊富な耳鼻科医へのコンサルトが重要です。
 

Qいびきをするのですが、睡眠時無呼吸などが心配です

  A
いびきが疲れたときのみか、毎日なのか、途中で止まり、しばらくして大きく息を吸うか(無呼吸を疑う)、無呼吸があるなら何秒くらいか、朝起きられるか、昼間の集中力障害があるかなどがポイントです。小児では成人と異なり、肥満が原因の場合は少なく、ほとんどがアデノイド・扁桃肥大によるものです。特に集中力障害や15秒以上の無呼吸が1時間に2回以上ある場合は扁桃・アデノイド摘出術の適応を考慮すべきで、睡眠脳波検査が有用です。
 

Qよく鼻血を出します。病気でしょうか?(1才10カ月)

  しょっちゅう鼻血を出します。指で鼻をほじっていることがあるので、傷をつけてしまったためだろうと思っていましたが、よく考えると鼻血が出るのは寝ているときばかり。しかも、布団に大人の手のひらぐらいの大きさの血だまりができるので、心配しています。何かの病気でしょうか?
(宮崎県 女の子)
 
  A
乳幼児は、鼻血が出ることが多いもの。
無意識に鼻を傷つけているのかもしれません
乳幼児の鼻血の原因には、主に次の2つがあります。
いちばん多いのは、鼻の穴のすぐ奥にあるキーゼルバッハ部位からの出血。この部位はもともと血管が多く、また、乳幼児期はこの部位の血管が粘膜の表面に浮き出ているため、風邪などで充血しているときに鼻をかんだりこすったりすると、すぐに出血してしまうのです。
次に多いのが、キーゼルバッハ部位に限らず、鼻の粘膜を傷つけて起こる出血。乳幼児は、気になって鼻をいじり、粘膜に傷をつけてしまうことが多いものです。昼間によく鼻をほじっているなら、寝ているときに無意識に鼻を触り、出血してしまったという可能性も考えられます。また、いったん鼻血が出ると、少しの刺激でも鼻にできたかさぶたがはがれて、出血を繰り返しがちです。
どちらの場合も医学的に心配はなく、年齢が大きくなるにつれて、出血の回数は減っていくことがほとんど。また、血は布についたり水にたらしたりすると、実際の出血量以上に多く見えます。手のひらほどの血だまりといっても、心配するほどの出血ではありません。
注意が必要なのは、鼻血が30分以上止まらないときや、鼻血だけでなく手足に内出血斑が出たり、首などのリンパ節が腫【は】れたりした場合。このようなときは、白血病、悪性リンパ腫【しゅ】など、血液の病気も疑われます。でも、これらはとても珍しいケースですし、お子さんの場合もすぐに出血が止まっているようなので心配はないでしょう。
鼻血が出たときは、鼻の入り口近くを両側からつまみ、鼻血が止まるまで待ちます。それでも止まらないときは、鼻の穴に脱脂綿などを詰めて止血をします。冷たいタオルを鼻に当てるのも効果的。子どもをあお向けに寝かせたり、頭を上に向かせてしまうと、血を飲んで嘔吐してしまう可能性があるので、体を起こしてうつむき加減にすることも大切です。
 

Q身長・体重の増加不良について教えて下さい。

  A
一般に-2SD以下の場合、精査対象としますが、年齢・環境因子も重要です。
哺乳量・食事量が少ないといっても背景に便秘があるかもしれないし、兄弟が多く、手間隙がかけられないこともあります。
成長ホルモンが身長の伸びに関与するのは3歳以降であって、それ以前は甲状腺機能低下・家族性・食餌性・尿細管アシドーシスや腎不全などの腎機能異常症・神経精神疾患の背景などの評価が必要です。
まずは成長曲線を何ポイントかつけ、急な伸び悩み(脳腫瘍や性腺ホルモン異常)なのか、ずっと同じペースで低いのかをみてみましょう。低いなりに成長している場合には体質性が多く、心配ないことがほとんどです。
 

Q水いぼ(軟属腫)について教えてください。

  A
伝染性軟属腫ウイルスによる直接接触により感染します。保育園や水泳教室等で集団発生することがありますが、隔離する必要はありません。6ヶ月〜1年程度で自然消失することが多いですが、待っている間に感染源となるので、小型のもの以外は除去するのが望ましいとされています。
現在(1)麻酔テープ(ペンレス)貼付後30分〜1時間後に、水イボ摂子により除去する、(2)硝酸銀を1-2回/週、塗布する。(3)ヨクイニン内服を4週間以上の3種が行われていますが、最も確実な方法は摂子による除去です。掻き壊しにより、とびひになりやすいなど、その児の特性や保育園・教室などの集団生活環境を考慮して、方法を選択してあげるとよいでしょう。
 

Q毛深くなる一方。治療法はないの?(1才5カ月)

  生まれたときからほかの子よりも毛深いと感じていたのですが、成長するにつれ、背中や脚などが、どんどん毛深くなってきています。私も毛深いのですが、やはり遺伝でしょうか? 女性ホルモンを使うなど、これ以上、毛深くならないようにする方法はないでしょうか? (北海道 女の子)  
  A
お子さんの個性の一つだと考えて、
しばらく様子を見てもいいのでは?
体質性多毛症が考えられます。ホルモン異常でなることもありますし、体質的な(遺伝的な)多毛という場合もありますが、病気とは限りません。また、女性ホルモンのクリームを塗ったり注射をしたりする方法は効果がなく、体毛を少なくするには脱毛をするしかありません。
でも、毛が多いのもその子の個性。女の子だからと気になる気持ちもわかりますが、乳幼児期の脱毛は発達の面でも好ましくありません。しばらくは様子を見て、思春期になってお子さんが気にし始めたときに、脱毛するかどうか、一緒に考えてみてはいかがでしょうか? 脱毛の方法にはいくつかありますので、皮膚科や形成外科でご相談ください。
 

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