おたふくワクチンは任意接種で有料のため、接種すべきか、2回接種が必要かと良く質問されます。当院では1歳を越えたら、少なくとも1回は接種することをお勧めしています。接種の必要性は以下の通りです。
a)必ずしも軽い感染症ではない。
意外に知られていないことですが、どちらも重症があり、年間数例の死亡報告があります。おたふくは髄膜炎の合併症も多く、高度難聴の発症頻度もかなり高いことが最近わかりました。水痘は痕を残すこともあります。
b)登校園禁止となります。
おたふくでは最低5日間、水痘も5〜7日間程は外出できません。この間の時間・経済的損失はばかになりません。
ワクチンについての詳細は以下の通りです。
有効率は80%程あるワクチンですが、もともとおたふくの髄膜炎合併頻度が高いこともあって、接種により髄膜炎を起こす頻度が4万接種に1回程度と、他のワクチンに比べて多くなっています。
おたふくの髄膜炎は軽いものが多いのですが、明らかな髄膜炎症状を呈した時には入院下に経過観察の必要も生じます。髄膜炎の主な症状は発熱・頭痛・嘔吐で、接種後1〜3週間後に起こる頻度が高いと言われていますので、疑わしい症状が出た時には受診して下さい。
2回接種を必要とする理由は、麻疹・風疹同様、@落ちてきた初回接種の免疫をもう一度高める、A初回で免疫がつかなかった人に免疫をつけるという2点です。そのため2回目接種のタイミングは小学校入学前が推奨されています。
日本ではまだおたふくの患者さんが多い状態で、おたふくウィルスと接触することでその都度免疫は高められていると思われますので、@の理由付けが現状どこまで妥当なものかは疑問もあります。ただし、高度難聴の合併頻度がこれまで考えられていたよりはるかに高いことが分かってきたので、しっかり2回接種した方が望ましいと思われます。小児科学会の推奨する追加接種時期は、MRワクチンと同様、年長さんの1年間です。当院での接種費用は1回6700円になります。